
こんにちは。やまちゃんです。
5月10日(土)の定例会終了後に、調布・狛江地区保護司会主催で行われた、セカンドチャンス!高坂朝人さんの講演会に出席してまいりました。
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- NPO法人セカンドチャンス!とは
- ・・・少年院出院者が経験と希望を分かち合い、仲間としてともに成長することを目的とした自助団体で、交流会や合同合宿を通して少年たちと交流し、更生のサポートをしています。
参考:NPO法人セカンドチャンス!ホームページ -
- 講演者;高坂朝人さんプロフィール
- ・・・広島県出身。知的障害者ケアホームで働くかたわら、愛知県BBS連盟運営委員・尾張旭BBS会事務局長、東海・非行と向き合う親たちの会(ひまわりの会)世話人、NPO法人セカンドチャンス!副理事長などを務められ、更生保護活動に尽力されています。
日々の活動は「高坂朝人の真心リレー」ブログにて公開されています。
当会でも6月21日(土)にセカンドチャンス!から講師をお招きして研修会を行います(詳細はこちら)。
ご興味のある方はぜひご連絡ください!
さて、今回は元非行少年の立場から非行に走ってしまった経緯や更生へのきっかけについてのお話をお聞きし、その中でも印象に残っているエピソードについて報告をします。
今回は元非行少年の方の講演会ということで、どうして非行に走ったのか?どうして更生を目指すようになったのか?という点についてはとても興味がありました。
高坂さんは、自身の過去を振り返って、「勉強や部活で挫折し、自身の居場所がないように感じていたときに、悪いことをしたり先生に反抗すると周囲から『お前すごいな!』と認めてもらえたことが、非行への一歩だったのだろう」と言っていました。
逆に、更生へのきっかけとなったのは、子どもができて自分が父親になるということを想像したときにこのままではいけないと感じたこと、老人ホームで働いていたときに、周囲の方々が優しく接してくれたことだったそうです。
このお話を聞いて、非行に走るきっかけも更生を目指すきっかけも変わらないのだと感じました。
どちらも、集団の中で自分自身のことを認めてもらえた、あるいは出番や居場所ができた、ということだったように思います。
結果的にそれが社会的に「良い」か「悪い」かの違いで、その根本にあるのは、人から認められたいという、誰もが持っている思いなのではないでしょうか。
現在更生保護にかかわっていると、少年の更生のために昔の仲間との関わりはなくしたほうがよいという話も耳にします。
しかし、周りからみれば確かに「悪い」仲間ではありますが、その少年にとっては青春時代をともに過ごした「大切な」仲間でもあるのです。
高坂さんは昔の仲間とは今でも交流があるそうです。昔は一緒に「悪いこと」をした仲間ではあるのでしょうが、今は全員働いて「真面目に」生活しているそうです。その仲間たちの存在も自身が更生をする上での支えになったと言っていました。
最初から「悪い」と決めつけて、ばっさり切ってしまうのではなく、これからの人間関係も少年自身で選んでいけるようにしていくことが更生するうえでも重要なのかもしれません。
高坂さんは更生の過程で、数多くの保護司さんや少年院の教官の方とも関わってきたそうですが、心を開くことはなかなかなかったようで、極端に言えば、敵のように見えることもあったそうです。
多くの教官が「君の夢はなんだい?」「将来は何になりたい?」と一方的に聞いてくるばかりの中、少年院で一人だけ心を開いて接することができた教官がいらっしゃたそうです。
その教官の方は、むしろ自分自身の夢を高坂さんに語ったそうです。その夢がなんとも変わった夢だったそうですが、その時に一人の人間として接してくれていると感じて、高坂さん自身も気兼ねなく自分の夢を語ることができたそうです。
更生保護をする人間とされる人間という立場の中で、その形にばかりこだわってしまうと、本当に心を通わせるのが難しくなってしまうのかもしれません。
一人の人間としてこちらから心を開いていかないと、相手も心を開いてはくれません。今回の教官は、高坂さんを一人の人間として認めた上で、自ら心を開いて歩み寄っていきました。
単なる対象少年としてばかり見るのではなく、相手を尊重する思いを持つこと、そうして初めて更生保護の取り組みが始まるのではないでしょうか。
現在、高坂さんはご自身の経験を生かして、非行防止のための講演や非行少年の付添人といった幅広い活動に取り組まれています。
そんな高坂さんですが、活動をする上で常に胸の奥に秘めている一つの想いがあるそうです。
「恩送り」とは受けた恩を本人に返すのではなく、ほかの誰かに恩返しすることです。
高坂さんはこの恩送りという言葉を胸に現在も非行少年のサポートに尽力されています。
この「恩送り」という言葉がとても印象的でした。
一人で大きくなった人はいません。誰もが多くの人に支えられて育ち、大人になって死ぬまでも恩を受け続けるのでしょう。
その恩を自覚し、自分の大切な人や仲間、そしてこれからの世代に返していくことは社会の成員としての義務なのかもしれません。
「恩送り」の気持ちの循環が温かな地域社会を形作っていくのではないでしょうか。
当会で行っているBBS活動もその循環の一つであると自負して取り組んでいます。
これからも多くの人に当会の活動を理解してもらい、携わっていただけるように精進してまいります。
普段は更生保護を行う側の方々からお話しを聞くことが多く、元非行少年の方からのお話はまた違った内容でとても勉強になりました。
今月の当会主催の研修会もまた別の方にお話しいただく予定ですので、高坂さんとは違った思いや人生をお伺いすることができると思います。とても楽しみです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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