去る10月12,13日に参加した すみだまつり にて、当会の活動内容アピールに使用した、パネル作成についてレポートします。
PCや印刷といった技術に特化した内容となっておりますが、お楽しみいただければ幸いです。
イントロダクション
すみだまつり・こどもまつりは、日頃の活動をアピールできる貴重なイベントです。今年も墨田区保護司会のご厚意から、スペースをお借りし、パネル展示をさせていただける運びとなりました。
昨年のパネル展示は、既存資料の拡大コピーを継ぎ合わせたもので、自作パネルとは呼べないもの。実績にもとづいた活動内容をアピールできず、「もっと地域社会の皆様にアピールできたはずなのに・・・」と不完全燃焼でした。そんな経緯から、今年はなんとしても自前でパネル作成を実現したかったのです。
当会に割り当てられたスペースは、90cm × 90cm の巨大エリア。印刷やデザインに縁が無いと、これほどの大判パネルは一生のうちに作る機会は無いでしょう。否が応にも気持ちは昂ぶります。
そして不運は突然に・・・
手書きによる紙面上のラフデザインも順調に終え、さぁデジタル化するか!と、息巻いていたところ、自宅の作業PCとして使っている MacBookAir のモニターが不慮の事故から割れてしまい、当初予定していたソフト Pages が利用できなくなってしまいした。
この Pages というソフトは、絵、写真、テキストといったオブジェクトの配置や回転、透明度の変更、レイヤーの奥行きなどを直感的に操作できることから、悩むことなくデザインに集中できる優れもの。操作感もさることながら、なんといってもフォントが超美麗。
Pages で作りこみたいなぁ、と困っていてもなんら解決になりません。MacBookAir を修理するとしても時間がかかりますし、ピンチはチャンスと気持ちを切り替え、代わりとなる環境を構築するところから始めました。
せっかくだから・・・
せっかくのボランティア活動なのだから、 OSS(オープンソースソフトウェア)*1 ですべてまかなってみようと考え、下記の構成をセットアップ。*1 OSSとは「自由であること」を思想とし、開発されたソフトウエアは「ボランティア精神でソースコードを公開する」運動のことです。
9cm × 9cmなどの小さいサイズを等倍して作ろうかとも考えましたが、巨大ポスターなので、写真やフォントにガタガタしたノイズ、ジャギーが目立つだろうと実寸大のデータを取り回すことにしました。
作業の流れ
- 机上ラフデザインをデジタル化
- デジタルデザインの写植と段組
- プリマスター作成とレビュー
- マスター作成と印刷屋さんへ入稿
机上ラフデザインをデジタル化
まずは、紙面上で作った手書きのラフデザインをデジタル化します。デジタル化といってもラフデザインをマッピングしたり、色のイメージや、全体のバランスを割りつけていくだけです。紙のデザインを見ながら GIMP へどんどん割りつけていきます。おおまかな文字バランスなどもここでイメージできていると写植が楽ですね。
デジタル化したラフデザイン
デジタルデザインの写植と段組
つぎに、デジタルデザインの写植と段組。Inkscape で文字バランスの調整、文字数の重み付けを行います。
並行して、最終イメージに不足しているものが無いか、新鮮な気持ちで何度も見なおし、閃きを待ちます。もし閃いた場合、それがデザインとして妥当か、意図と意味は機能美としてバランス良いかを自問自答します。
写植と段組
プリマスター作成とレビュー
つぎの作業は、プリマスター作成。これは、新たな閃きを埋め込み、ガタつきや、微小な歪み、バランスを完全なものとし、作り手として限界まで仕上げる工程です。このプリマスターをもとに、他者に論評と指摘をお願いします。いわゆるレビューというやつです。そこで指摘された内容がデザインに支障をきたさない程度であって、妥当であれば、反映します。
プリマスター
マスター仕上げと印刷屋さんへ入稿
最後に、レビューを経たプリマスターを印刷屋さんへ入稿できる状態、マスターへと仕上げ入稿。完成した現物が手元に届くのを待ちます。今回使わせていただいた印刷屋さんはプレオさん。A0サイズのポスター印刷は高コストですが、プレオさんだと印刷送料込みで5000円前後のコストで実現できました。印刷品質もグレードがよく、今後も利用させてもらおうと考えています。
完成したパネルとあっちゃん。身長185cmのあっちゃんと
パネルを並べると、その大きさが実感できます。
最後に・・・
A0サイズという大判ポスターパネル作成。この貴重な経験が積めたのも、BBS活動というボランティアに参画していたおかげだと思います。A4チラシやA3ポップのようにコンビニで試し刷りができませんので、現物を見るまではなんとも不安でしたが、どうにか人様に見せられる形に仕上がり、ホッと安心したことを思い出します。
また、すべてOSSで成果物を作成することも、技術的に実現できることを知っていましたが、なかなかチャレンジングでした。
ある操作をするとアプリケーションが異常終了してしまったり、こうすればいいかな?これでどうだ!とトライ&エラーで作り上げることができたのも、「もっと地域社会の皆様に知っていただきたい!」という一念で、最後まで諦めることなく走り切ることができました。
OSSを利用するメリットは、なんといっても「コストダウン」でしょう。当会は財政が貧弱でシステムやアプリケーションに割けるだけの予算もありませんので、すべてがフリーという存在は頼もしい限りです。
最後までマニアックな長文をお読みいただき、ありがとうございます。
それではまた・・・
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